《MUMEI》
その名はミッキー
 
 次の瞬間、ネズミの周りに"ボン!"という音と共に小さな煙が舞い上がった。
 そして、煙の中からは何と、人のように二本足で立つさっきとは違う姿をしたのネズミ(?)が現れた。

 やたら大きく目立つ耳を持ったその姿は全体的に黒を基調としているが何故か顔の部分だけが白い。
おまけに白の手袋に赤いズボン、そこから伸びた細い足には黄色いブーツまで履いている。


「わ、わ、何だ!?
また変なのが現れたっ!」


 思わずのけぞった青年にそのネズミが語りかける。


「僕だよ僕。
魔法を使う時はこういう姿に変わるんだ。
あ。そう言えばまだ名前も言ってなかったね。
僕の名前は"ミッキー"ってんだ」


 ミッキーと名乗るそのネズミは次にズボンのポケットから銀色に輝くステッキを取り出した。
その先には星の形をした飾りがクルクルと回っている。

ミッキーは右手に持ったステッキを高くかざして青年に言った。


「さぁ、いくよ!
目を閉じてさっきの願い事を繰り返し念じるんだ」


「こ、これでいいかい?」


 青年は半信半疑のままミッキーに言われた通りにしっかりと目を閉じ、胸の前で両手を合わせ願い事を心の中で一心に巡らせた。

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