《MUMEI》
磨かれた才能
 
「それっ!!」


 その掛け声と共にミッキーは大きな弧を描きながらステッキを振り下ろした。

 瞬く間に青年の体は雪の結晶を散りばめたような無数の光に包まれる。
 そして、まるでクリスタルで作った楽器で音楽を奏でるような美しい音色が耳元に繰り返し鳴り響いた。


 やがて光は青年の体に溶け込むようにゆっくりと消えて無くなっていった。



「さ、終わった…。
もう目を開けても大丈夫だよ」


 そう言ったミッキーの体はいつの間にか元のネズミの姿に戻っていた。

 青年がおそるおそる目を開ける。


「何だろう?
言葉には言い表せない様な不思議な感じだ…」


 自分の体をまじまじと眺めている青年にミッキーは言った。


「君の体は何も変わっちゃいないさ。
変わったのは感性と才能の方だ。
 いや、変わったと言うよりとてつもなく磨きがかかったって言った方が正しいかな」


「で?このあと僕はどうすりゃいいんだい?」


「特別な事は何もする事ないよ。
今まで通り君の感性の赴くまま自由にキャラクターを描き続ければいいんだ。
 この先、君が願っていた通り世界中の人々に愛されるキャラクターたちがどんどん生まれてくるはずだから」

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