《MUMEI》
意外と厳しい現実
「せっかくだから、現役高校生の意見も聞いてみましょうか」


そう言って、咲子さんは厨房にある内線電話を使い、双子の娘達


高校三年生のやこちゃんとせいこちゃんを呼び出した。


帰宅したばかりだった双子は、制服のままだったが、昔と違い、簡単に見分けがついた。


同じ黒髪セミロングの二人だが、やこちゃんは毎日違う凝った髪型をしているのに対して、せいこちゃんは毎日一つに結んでいるだけのシンプルな髪型だったからだ。


「今年は何をやったんですか?」


「…シンデレラ」


やこちゃんの質問に、洋子さんは自信無さげに答えた。


「単純」


「だから、王子と姫を…男装した女子と女装した男子にしたんですけど…」


せいこちゃんの言葉に、洋子さんは、小声で答えた。

「あら、面白そうね」


(確かに)


私も咲子さんと同じ気持ちだった。


「「そんなの、普通よ」」

双子は厳しい現実を語った。


今時、男装女装は、文化祭では珍しくなく、よほど似合っていなければ注目は浴びない…らしい。


「そうなんですよ…」


そして、洋子さんの部員達は、微妙な感じの仕上がりだった…らしいのだ。

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