《MUMEI》

赤城北高校も授業が終わり、


部活動の時間に入っていた。


「あれ?
何か少なくない?」


「早くもサボりか1年は。」


「…違う。」


「え?
ユキヒロ何か言った?」


「さっき、
1人辞めるって俺のとこ来た。」


「は!?
いくらなんでも早くね!?」


「…」


(…間違いない。


猪狩が脅したんだ…。


人が来ないとこに呼び出して、


そして…


普通じゃ目立たないとこを殴る…


あいつの…


さっきの1年の腹…


真っ青だった…


猪狩が殴ったんだ。


前と…


同じように…)


「で?
誰が辞めたわけ?」


「えっと…
まぁ今いないやつだよ。」


「だからどっち?」


「…どっちって?」


「いや、
今1年2人来てないだろ?
どっちが辞めたんだよ?」


(…2人?)


数を数えるユキヒロ。


(ホントだ…


2人いない…


まさか…)


「…猪狩だ。」


「…は?」


「探すぞ!!
猪狩が1年脅して辞めさせようとしてんだよ!!」


「…!?
猪狩さんが!?」


ユキヒロの言葉に、


椎名が反応する。


「急げ!!
学校のどこかにいるはずだ!!」


ユキヒロの必死な様子に、


2、3年はようやく気付く。


今まさに、


以前と同じことが起ころうとしているのだと。


ユキヒロと椎名以外の部員は、


話でしか聞いたことがなかったが、


いつか同じことが起こるのでは?


そう考えたことがあった。


「お〜っす。
今日クロさん遅く…」


「すいません翔太さん!!
急ぐんで!!」


「なるって…」

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