《MUMEI》

「どうかしましたか?
具合でも悪いのかな?」

目の前の紳士風の男は私の目を覗き込んできた。

…嫌だ。見ないでほしい。
サトル以外の男性にまじまじと見られる事に、これほど不快感を覚える事に意外だった。

あなたに、かな?なんて言われる筋合いもない。
不快感が全身を走った。

トウルルル…… トウルルル……

男の携帯電話が鳴り、何やらビジネスの話を始めた。
私はトイレに立った。

そして、ガソリンとクラクションの匂いや音の渦巻くメイン通りに吸い込まれるように出た。元来た方向へ全力で走る。

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