《MUMEI》
願い
   〜栄実視点〜


どうして・・・?


どうしてそんなこと言えるの??


まっすぐ揺るぎない瞳で私を見つめる歩っち。


私のこと信じてる・・・?


会って間もないのに??

酷いこと言ったばっかりなのに・・・??


次々と私の頭に疑問が浮かび上がる。


そんなに簡単に人を信じて怖くないの・・・?


私は怖い・・・・・。


私が簡単に信用したから・・・陽奈子は傷ついた。


私達の前から、居なくなってしまうくらい苦しんだ。


過去のドロドロした感情が溢れ出す。


居なくなってしまった陽奈子に


届かない謝罪をすることしか出来なかった。


意味のないことしか出来なかった・・・。


歩っちが私のことを信じても、歩っちが傷つくだけ。


もう繰り返したくない・・・。


もう大切に思っている人が、傷ついて目の前から居なくなるのは嫌・・・!


私は、自分との約束をもうとっくに破ってる。


気づかない振りをして、約束を守らなきゃって自分に言い聞かせてた。


でも、気持ちは膨れ上がるばっかりで・・・強がって、自分にまで嘘をついて


一生懸命・・・・・隠してた。


抑えきれなくなってしまった気持ち――海も麗羅も歩っちもみんな大切・・・


溢れてくる願い――みんなと一緒に居たい・・・ただそれだけ。


でもその願いが強くなる程、怖い・・・。


壊れてしまうことが・・・壊してしまうことが。


だから心の奥底に沈めるの・・・私の願い。

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