《MUMEI》
2#霧の屋敷@
ベッコウの逃げ足の速さを見せ付けられ、やっとの思いで草馬が屋敷の近くまでたどり着くとお屋敷主様の部屋へ続く引き戸が開いているのが分かった。

「まーた、ベッコウが開けっ放しにしてるんだぜ」
「叱られてしまいます。ベッコウさん。」
突然背後から聞こえた2つの声に反射的に飛び退き、腰の刀に手をかける。

「なーに、ビビッてんだよ草馬。」
「すいません、草馬さん。アカメがビックリさせてやろうぜ、なんて言うものですから。」
「えぇ?!俺様のせいかよ!」
「そうです。アカメが全て悪いのです。」
「キーー!」
「早く謝るのですよ。さぁさぁ。」

さきほどから真っ赤な髪の毛を掻き毟り地面を踏み鳴らしている方がアカメ。
透き通るような青い髪をしてメガネをキラリと光らせているのがアオメ。
似ても似つかない性格をしているが、これでも双子の兄弟妖怪だ。

「あぁ、なんだ。双子妖怪か。あんまり物騒な真似しないでくれよ、間違って斬ったら事だ」
抜きかけた刀を鞘に戻し、ため息をつく。
「へっへーん、草馬に斬られる程まぬけな俺様ではな、、!!」
ボコッ!
台詞が終わる前にアオメが手にした分厚い本がアカメにヒットした。

「痛ぇええーーーーーーーー!!!!」
「ごめんなさい、草馬さん。気をつけます。僕からもアカメに注意しておきますから」
「うわーー血ぃ出てるよーーー!ありえねー!」
「急いでいたのでしょう、戻りましょう草馬さん。」
「あ、あぁ。」
「近くで戦ですかね、微かに血の匂いがしますね。お屋敷が忙しくなりそうですね。」
スタスタと歩き出すアオメに引っ張られ草馬も歩き出す。
「血の匂いは俺様の頭からだよ!ってコラ!アオメ!聞いてんのか!くぅぅーーマジいてえーー!」

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