《MUMEI》

授業で、あまり寝なくなった。


…ノートも、前よりは取るようになったし(字はきたねーけど)。


自分の成長に、少し嬉しくなる。





―…ウワサを聞いたのは、昼飯を食ってるときだった。



「ねね、かなめ!!」



2,3人の女子が、青木とおれの元に集まってきた。



「…??なんだ?」



おれが首を傾げると、その中の一人 ―…山崎が興奮した様子で言った。



「―…あの噂、ホントなの!?」


「…は?―…ウワサって…??」



おれが戸惑っていると、山崎はちらりと、
瀬田と飯を食ってる『おれ』―…蓬田のほうを見遣って、小声で続けた。



「…だから!!―…かなめが―…」



そこで口をつぐみ、他の女子と目配せしあう。



「だから、なに??」



促すと、



「―…かなめが椎名くんと付き合ってるってウワサ!!」



そう言った。



…はあ??


何で、そうなる!?


山崎たちは、おれの答えを興味津々に待っている。
何も言えずに、固まっていると



「…そんな訳ないでしょ」



静かな声が、沈黙を破った。

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