《MUMEI》

振り返ると、青木が顔をしかめて腕組みしていた。



「…そんなの、ただのウワサだよ」



青木はそう言うと、ペットボトルのお茶を一口飲んだ。



「え〜!!でも、一緒に帰ってるの見たって…」



口を尖らせて、山崎の隣にいた金原が反論する。


…マジで、そんだけでウワサって広がんのかよ…



「…そうなの…??」



眉をひそめて、青木がおれに尋ねる。



「え!?―…あー、えっと、それは―…」



いきなりの質問におれが慌てていると、



「ほら〜!!やっぱりそうなんじゃん!!」



山崎と金原が同時に言うと、おれに視線を向けた。
青木も、おれを見てくる。


…なんか、恐ええ…



「いや、一緒にってゆうか、帰りが一緒になっただけで―…!!」



おれが慌てて弁明すると、



「…そうだよね」



青木が、優しい笑顔で言った。



「…やっぱり、かなめが椎名君と付き合うなんて、あるわけないよ」

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