《MUMEI》

「別に関係無い。」

昭一郎は迷わず言う。


「何それ、ミユのことどうでもいいの?!」

うわあ、なんか苛々させる女だな。
昭一郎の手に巻き付けてる嫌らしい指とか、ムカつく……。


「……なあ、ミユ?ちゃんだっけか。
今ね、しょーちゃんは俺とイ〜イ仲なの。
お前が入れるような隙は寸分も無いしもう寝たし互いに相性抜群だって分かってんの!」

なんて。
これからの予定だけど。


「嘘よ、しょーちゃんはミユと……!」


「ああ、ミユちゃんに合わせてくれだけでしょ?
しょーちゃんは俺にはもっとケモノみたいだよ?ミユちゃんはそんなに求められたことは無いんじゃないかな?」

……なあんてね。

ミユちゃんは心当たりがあるみたいだ。


「……そうなの?」

縋り付くように昭一郎を見つめた彼女を簡単に頷くことで裏切った。

ミユちゃんは悔しそうに泣きながら出て行った。
前から破局していたのを認めたくなかったのだろう。



「お返しは日曜に一緒にご飯食べに行ってくれればいいよ?しょーちゃん。
勿論、こっちの奢りでいいから。」

しょーちゃんだなんて呼ばれているだなんて似合わない。


「……くたばれ」

相変わらず睨んだままだ。
昭一郎という名前は店員さんが言っているのを聞き逃さず覚え込んだ。
渋い名前だと思う。俺なんて『愛知』と書いてマナトモだし。

しょーちゃんだなんて可愛い呼ばれ方してるじゃないか。

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