《MUMEI》

泣き叫ぶ息子を、病院に連れて行き、治療を頼んだ。


しかし息子の小指は、元には戻らなかった。


職場から駆け付けた夫と姑から、私は責められた。


「お前、何を見てたんだ。息子の手に気付かなかったのか?」


「あんたは、鬼だよ、あんな小さな子の指を切り落とすなんてさ。包丁だって、あんなに研いでなけりゃ、切り落とさないですんだのに…」


私は何も言えなかった。二人の言う通りだと思った。病院のベッドに寝ている我が子の顔を黙って見つめていた。

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