《MUMEI》
あれ、何で戦ってたんだっけ?
「せいやぁ〜!」
一撃目はヒットしたがマミーを倒しきれてはいない。マミーは狩月に襲い掛かってきた。
「く・・」
これまでの経験のおかげか何とか盾で防ぐが横合いからもう一匹のマミーが攻撃を仕掛けようと向かってくる。走ってきて息もやや切れ気味の狩月は防御で精一杯のようだ。さらに薄暗いので敵が良く見えないと言うのもピンチに拍車をかける。何度か回避とガードを繰り返す。
「くっそ〜〜〜援護しろよ!!」
はぁはぁ・・と肩で息をしている狩月。ダメージもかなり蓄積されている。
「ふぅ・・漂いし精霊達よ!ここに宿りて明かりとなり周囲を照らさん!フェアリーライト」
琴の手から白い光が出現し周囲を照らす。モンスターが微かに後退した。
「これでよし、待たせた狩月。」
「敵さえ見えれば!!ってやば・・・」
「どけ!!馬鹿」
矢を連続で放つ琴。流石は中級職というべき威力でマミーを葬っていく。
ドサ・・最後のマミーが消滅したのを確かめ矢を収める琴。
「ふぅ・・接近戦は苦手なんだよ・・」
「すげぇ・・琴がかっこいい・・」
ぽつりとつぶやいた狩月にピースをする琴。
「ようやく俺のすごさがわかったか」
「あぁ・・すごい矢だな」
「そこかよ!!」二人の声が重なる。
「誰だ?この人」
座り込んでいる魔法使いを指差し狩月が琴に訪ねる。
「あ・・忘れてた。」
ポンと手を打ちそうつぶやく琴。魔法使いは確かめるように・・
「助けに来て・・くれたんだよな?」
と尋ねる。
「そのはずだけど・・」
と苦笑いを浮かべる狩月。
「戦ってるうちに忘れたってことか」
けらけらと笑う。さっきまでピンチだったのが嘘のようにのんびりとしている。
「まぁな」
なぜか偉そうな琴。
「弓使いはともかく・・君は初心者だよな?」
と狩月にたずねる魔法使い。
「うん。」
「そっか〜俺も初心者だ、レベルは7だな。っと自己紹介してなかった!ボンカーだ。よろしく。」
「狩月です。職は剣士でレベルは・・ってうわぁ4になってるぞ!!」
「当たり前だあんだけ倒したからな。俺は琴、レベルは22」
「高いな・・中級職ってやつか?」
「あぁマジックアーチャーだ。そっちは魔法使いか。」
「遠距離から撃ってれば楽だし・・なにより無傷でいけると思ったんだけどな〜」
「そんな理由で・・」
「それに前衛みたいに忙しくないし・・呪文詠唱中ってことにして・・のんびりできるだろ?」
「・・・真面目に戦え〜〜〜!!」
けらけらと笑っているボンカーについ突っ込む狩月。
「ふ〜ん・・狩月も慣れてきたんだな。よかったよかった。」
「そうか?まぁボンカーが突っ込みどころ満載なだけな気もするけど・・」
「な・・突込みどころ満載って・・まぁそれもそうかも」
言っているうちに納得したのか一人でうんうんと、頷いているボンカー。
「ボンカーって年いくつ?ちなみに俺らは18だけど。」
「22だ。」
すごいだろうとばかりに胸を張るボンカー。二人はややあきれ気味に
「22?」
うんと頷くボンカー。
もともとのんびり屋なのか、日向でぼーっとしているような感じがあるからだろうか、幼く見える。
「嘘はダメだと思うぞ?」
琴が真顔で突っ込む。
「だから〜〜本当だって!!まぁ確かにガキっぽいって友人に言われるけどさ〜・・」
言っているうちに凹んできたのか肩を落とし、しゃがみこむボンカー。数秒後・・何かを思いついたかのように立ち上がるとやや困った顔で頬を掻きながら
「まぁいいけどね。」
そう言うと彼は笑顔に戻っている。基本的に笑顔が彼の基本のようだ。

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