《MUMEI》
責める
   〜海視点〜


まっすぐ栄実を見つめる歩と


俯いて涙を流し続ける栄実。


暫く続いた沈黙の後、栄実が口を開く。


「栄実のこと信じても、栄実は歩っちのこと裏切るよ・・・?」


「栄実はそんなことしない」


歩は、またもやキッパリと言い切った。


「会ったばっかりの歩っちに・・・何が分かるの?」


栄実はポツリと呟いた後、顔を上げ大きな声で歩に言葉をぶつけた。


「栄実がしたこと何も知らないくせに・・・!!」


そう言うと栄実は、俯き片手で顔を隠すようにして消えそうな声で呟いた。


「栄実はみんなが思ってるような子じゃない・・・。


酷い人間なの・・・最低な人間なの。


大切な人を守るどころか傷つけることしか出来なかった・・・」


容赦なく自分を責める栄実を、抱きしめることしか出来なかった。


栄実は、悪くない!!


その想いを言葉にすることしか出来なかった。


「そんなに自分のこと責めるなよ!!


栄実は悪くない・・・!!」

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