《MUMEI》

「しゃ!!行くぞ!!」


「おぅ!!」


気合いを入れ、二回戦に備えアップを行う赤高。


二回戦、と言っても、シード校に選ばれていた赤高にとってであり、


事実上では三回戦。


すなわち準々決勝であった。



「古田。ちょっと来い。」


「あぁ!?なんだよ!?」


顧問が古田を呼ぶ。


(いつも思うけど、よく翔太さん先生にあんな口聞くよな…


俺たちには優しいのに…)


「てめぇが来いよ!!


なんだよ!?


話しかけんじゃね〜よ!!


試合前だぞ!!


空気悪くなんだろ!!」


(え〜!?


何か凄い理不尽に切れてるよ翔太さん!!)


「北農は機動力に長けてるチームだ。」


「知ってるよ!!」


「正直うちのキーパーじゃ速攻を出された時に痛い。」


「おめ〜の教え方が下手だからだろ!!」


「そこでだ、」


(先生も普通に流してるし。)


「サイドに椎名を入れようと思うんだがどう思う?」


「…」


(…サイドに椎名、


悪くない。


決定力に欠けるけど、


スピードとスタミナはピカイチだしな…


ずっとセンターやってたらしいけど、相手の機動力を封じるって意味じゃ椎名は有効だ。)


「どうだ?」


「…好きにしろよお前が監督だろ。」


「…わかった。」


1年椎名。


高校公式戦での初スタメンは、


高総体第三試合。


北農高校との試合だった。

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