《MUMEI》

 






「――――起きろ!」

氷室様の声で目を醒ました。

「これは……君のプレゼントかな?」

氷室様の横で穏やかで紳士的な声がした。
そういえば、焼き菓子が無い。
僕は頷く。


寝起きで体が動かないと思ったが、どうやら縛られている。
アイマスクは相変わらずで僕は踞りじっとしていた。

場所もフローリングからふかふかのカーペットになっている。

「千秋も変わったモノを持ってきたね。」

「父さん、是非、食べてみては?」

どうやら氷室様の横の紳士的な声の主が氷室様のお父様らしい。

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