《MUMEI》

「実は…私達、外で葛原さんにあった事があるんです。
その時、洋平が聞いたんですよ。『僕達の事覚えてますか』って。
でも『知らない』って…
私達の事、覚えてなかったんですよ。
取り調べした次の日だったのに。」


本多は美樹の話を黙って聞いていたが、そこまで聞いて目を見開いた。

美樹はそれを見逃さなかった。


「おかしいですよね?
本多さんの言っていた通りなら、覚えている筈ですよね?」


確認するように聞かれた本多は、無言のまま頷いた。

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