《MUMEI》

――――昏い、 昏い

黒猫に導かれ

扉を開く




軋る観音開きの扉に私は指を伸ばす。


一本の蝋燭の灯が低いテーブルを照らし出す。

後は真暗闇だ。





「ふふ、いらっしゃい、此処は又旅の間」

目深に帽子を被り、闇に溶ける服装の男が笑う。
膚の色だけが浮かび上がり不気味だ。

目許の泣き黒子が余計に闇に溶けた黒瞳を引き立てる。
黒猫は黒い男の膝の上に同化した。

次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫