《MUMEI》 目を開けると 見慣れた家具に 室内の香り、 私の家だ、私の家だわ…… 壁際にテレビ、向かいの角には大きな麻のクッション。 彼のお気に入りの場所。 彼は、いつも辛いことがあると抱き抱える。 辛いこと………… 私が死んだこと。 黒い男と黒い猫はその、日常空間には異質だ。 「貴方の声だけ聞こえる筈ですよ……話しかけてみては?」 愛おしい彼、私はもう傍に居られないけれど…… 前へ |次へ |
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