《MUMEI》

「昇………………。」

私に振り向いて。




「――――――昇!」

私の声を掻き消す私の声。
私が……
もう一人?

もう一人の私は昇の背中を摩る。



「秋子……。」

彼は私の名前をもう一人の私に使う。




じゃあ、私は誰?

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