《MUMEI》

「お喋りし過ぎだよ、深黒」

男は深黒に接吻し、頬に手酷い傷を受ける。





「……あきこは、家族だよ。代わりなんていない。」

昇は秋子に語りかけた。

「そうね、ごめんなさい。あきこは私達の子供だものね。」

秋子は昇を抱きしめる。



あきこはそのとき自分の首に付いていた鈴を思い出した。

二人が家の何処に居ても見付けられるようにと付けてくれた鈴だ。

あきこは茶白の毛並みによく合っているその銀の鈴や闊歩するたび響き渡る涼しい音色が好きだった。

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