《MUMEI》

「おいしかったでしょ。」

今日の為に寿司屋を予約しておいた。


「……働いて必ず返すから」

「いいよ、奢りで。社会人だし。」

ハナからそのつもりだった訳だし。


「お前にそういう負い目作りたくない。」

昭一郎から意外な返答だった。


「――――付け込まれたく無い?
俺がもし、迫って来たら断る自信が無い?」

俺の言葉に俯いて、そら、キスの一つでもしろという合図か?

「必ず……お前を棄てる。俺はお前みたいなのとは合わないのは知っている。」


「ふん、セフレ上等。」

欲しかった。
この後とかよりも今の方が大事だったから、昭一郎の部屋で抱かれる以外の選択はみつからなかった。

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