《MUMEI》 小木くん 〈私〉お、小木くんって… この人!? 私は、目の前に立つ、悠に180cm以上はあるだろう男の子を見上げた。 「よろしくな、椎名クン♪」 にやにや笑いながら言ってくる小木くん。 「あっ、よ、よろしくね!!」 私が返すと、小木くんは驚いたように目を丸くしたあと、 「…今日は手ぇ抜かねえから」 そう言うと、チームメイトのほうへ戻っていった。 「あいつ、あー言ってっけど、お前とやるときいつも本気だぜ」 小声で、瀬田くんが言う。 そうなんだ… 「いっつもお前に負けてっからな、190もあって、バスケ部のクセして。 …やっぱ悔しいんじゃね??」 瀬田くんの言葉に驚く。 小木くん、190センチもあるの!? しかも、いつも椎名くんが勝ってるんだ…!! 椎名くん、すごいなあ… 「おい、始まっぞ!!」 瀬田くんに肩を叩かれる。 ―…精一杯、頑張ろう!! 試合開始を告げる笛が、鳴った。 前へ |次へ |
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