《MUMEI》
初夜
也祐は、俺をベッドに仰向けに寝かせると、俺に覆いかぶさってきた。


当たり前だが、この時俺は、也祐が何をするのか全くわからなかった。


だから、質問した。


『これから、何するんだ?』

『愛し合うんだよ』


也祐は、俺の耳元で優しく答えた。


『じゃあ、俺は、どうしたらいい?』

『……え?』

『愛し合うんだろ? 也祐に愛されるだけじゃなくて、俺も何かするんだろう?』

俺は、この頃普通の教育を全く受けていなかったが、文字の読み書きはかろうじてできた。


『話し合いだって、一人じゃできないんだから、愛し合うのだって、一人じゃ無理なんだろ?』

『祐也…』

『俺、頑張るから、教えてくれよ』


何も知らなかった俺は、何も知らないからこそ、也祐の言う通りにできたのだと思う。


だから、普通は、羞恥心が邪魔してできない行為も


体勢も


何の抵抗もなく、していた。


『大丈夫、…かい?』


也祐は、ローションで丁寧にほぐした部分に、そっと自身を入れてきた。


『へ…い、き…だ』


言いながらも、初めての痛みに俺は涙を流していた。

『ありがとう、祐也』


これが、俺と也祐の『初夜』だった

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