《MUMEI》

口の中に入れられたフォークは僕が咀嚼するまで離してくれない。

僕は、菓子を飲み込んだ。
甘い香りが口の中で広がる。
かなり美味しい……!



「三分だな。」

お父様は一体何を……、三分……?


時計の音ばかり響き渡る。

程なくして
寒気がして汗が噴き出し、震えが止まらなくなった。


…………苦しい、嗚咽がきた。
吐いてしまいそうだ。


「へえ、今回はまた新しい趣向だな、千秋?」


「俺は、父さんを殺したいほどは嫌っていません。
……今回のことには心当たりはありません。証明としてこれで、許して頂きたい……。」

頭がくらくらして思考が鈍って錯覚しているのか、氷室様のお声が近い気がする……ような……?

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