《MUMEI》 存在の確認まるで使い捨てのオモチャのように放置された俺を、足を引きずりながら、護は離れに運んだ。 護は、医学の知識もあり、俺の看病をしてくれた。 俺は、高熱を出し、意識がはっきししない状態だった。 (冷た…) そんな俺が、目を覚まし、初めて目にしたのは… 『祐也!』 『也、…祐? ……お、帰り』 俺が冷たいと感じたのは、也祐の涙だった。 『ご、…めん、俺…』 『お前が謝る必要なんて無いんだ!』 起き上がろうとする俺を、也祐は優しく制し、横になるよう言った。 『こんな事になるなら、…連れていけば良かった』 『也祐…』 俺は、也祐を慰めようと手を伸ばしかけ… やめた。 弘也が俺をペットと呼んだ事が、急に頭をよぎったのだ。 『どうした? 祐也』 うつ向く俺の顔を、也祐が覗き込んだ。 『…言いたい事があるなら言え。旦那様が心配する』 忍が冷たい口調で、俺を促した。 『也祐…』 『…ん?』 『俺は、也祐の、…何だ?』 ペットかと訊けない俺は、そう質問するのがやっとだった。 『祐也は私の可愛い恋人だよ』 也祐はいつものように優しく微笑んだ。 前へ |次へ |
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