《MUMEI》 直球勝負〜歩視点〜 俺の質問に栄実は視線を下に落とした。 栄実が、海や麗羅チャンを大切に思っていることは見ていれば分かる。 大切なら一緒に居たいはずだろ?? 俺は、下を向いたまま何も言わない栄実を見つめる。 微かに食いしばった口が震えているのが分かる。 "過去から進めないでいる" 海が言った言葉を頭の中で繰り返す。 "お願いだから、今は1人にして・・・" "触らないで・・・" そして今朝の麗羅チャンの言葉を思い出す。 大切に思っている人が自分のことを想ってくれているのは、当たり前のことなんかじゃなくて 奇跡みたいな確率のことなのに・・・ 栄実は過去を理由にしてキチンと向き合おうとしてない。 それは前に進めてないんじゃなくて・・・ 俺は、栄実に自分の考えをぶつける。 「海が栄実は、過去から進めないでいるって言ってたけど・・・栄実は進めないんじゃない! 進もうとしてないだけだ!!」 キツイ言葉かもしれない。でも栄実のことを大切に思ってるから 栄実のことを信じてるから言える。 心の底から笑えるようになって欲しいから・・・ だからまっすぐ真剣に向き合う! 嘘も遠慮もいらない。 ・・・ありのままの栄実を受け止めたいから。 前へ |次へ |
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