《MUMEI》
台本第一号完成
とりあえず、麗子さんの許可を得る前に、私達は考えた話を洋子さんに伝えた。

そして、洋子さんはそれを元に台本を書き上げた。


タイトルは『切ない片想い』


主役は、麗子さんと孝太の二人。


大切な思い出の女の子に靴を選びたくて『シューズクラブ』に就職した孝太と


そんな孝太を応援しながらも、孝太を好きになってしまう麗子さんの


儚い恋のラブストーリーだ。


ラスト


思い出の女の子に会えなくて、落ち込む孝太を慰める麗子。


麗子は勢いで孝太に告白するも、結局振られてしまう。


それでも、孝太はこの商店街で働き続け、麗子とは結局いい仲間で終わる。


《どう…でした?》


「いいお話だと思います」

私は、素直に感想を述べた。


「他の皆も感動してました」


洋子さんは、私以外の商店街の皆にもコピーした台本を郵送してくれていた。


《麗子さんは、…どうでしょうか?》


「それは、まだ…」


洋子さんが台本を書いている間に麗子さんは退院して、実家に戻っていたが、まだ体調が優れない様子だと孝太が言っていた。


《そう…ですか》


洋子さんは、その日は早めに電話を切った。

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