《MUMEI》
忍で確認
『なぁー、忍』

『…何だ?』


珍しく、也祐だけがいなくて忍と俺の二人きりの夜があった。


それは、俺が十三歳の三月の事だった。


今思えば、五歳年上の


俺を襲った弘也の高校卒業祝いをしていたのかもしれない。


そして、弘也を警戒して、也祐は忍を俺の側に置いたのだろう。


そんな忍に、俺は提案した。


『一緒に風呂に入らないか?』


忍があれほど動揺したのは

過去も現在も、この夜だけだった。


その位、忍は慌てた。


『忍の裸が見たいんだ』

『…… 急に、どうした』

わざとらしい咳払いをしながら、忍は俺に質問した。

『忍は、也祐より年下だろう?』

『まあな』

『もう、大人の体なのか?』

『…お前よりはな』

『本当に?』


疑う俺に、忍は思わず答えた。


『本当だ。何なら見てみるか?』

『うん!』


こうして、俺は人生で初めて也祐以外の大人の体を見た。


忍の全裸は無駄な肉がなく、全身固かった。


『すごいな、俺とは全然違う!』

『触るな。…もういいだろ』


そして忍はいそいそといつもの執事服に着替えた。

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