《MUMEI》
【一話完結】
『ママ〜!!
サンタさん来た〜!?』


『まだよ。
サンタさんはね、
24日のクリスマスイブの夜に来てくれるわ。』


『そっか(笑)。』


『僕ね、サンタさんにお手紙書いたんだよ!!
プレゼントのお願いしたんだ!ねぇねぇ〜ポストに入れてきてもいい?』


『ちょっと待て!!
ママがサンタさんの住所を書いてあげるから。』


『うん!!』


私は、こっそり中身を確認した……。


………………………。


───────────

さんたさんへ。

ぼく、いい子にしてたから、プレゼントください。

ぼくのママに、やさしいパパをあげてください。

ぼくのパパが、しんじゃってからママは、げんきありません。

だから、しんじゃったパパを、またママにあげてください。

おねがいします。

───────────


私の涙は止まらない。


『ママ〜!
早くポスト行こう!
お手紙出さなくっちゃ!』


『…ねぇ。
ママにも、サンタさんに何をお願いしたのか教えてくれない?』


『ダメだよ!!
お楽しみなんだから!!』


『…そう。
じゃあ、ママのお話を聞いてくれる?』


『うん。何!?』


『あのね…
ママはサンタさんに、とっても素敵なプレゼントを貰ったことがあるの。
本当に嬉しかったわ。
そのプレゼントのおかげでママはね、今とっても幸せなの。』


『…プレゼント?』


『そうよ。
…それでね、そのプレゼントを貰った時にママは、サンタさんと約束したことがあるの。』


『…お約束!?』


『うん。それはね…
ママは“そのプレゼントをとっても大切にします。”ってお約束したの。』


『…ママ。
……サンタさんに、何をもらったの?』


『うふふっ。
あなたのお誕生日は?』


『僕のお誕生日は12月25日だよ!!……?』


『そう。
ママは、サンタさんに“あなた”を貰ったのよ…。
だから、これ以上…サンタさんに貰う物はないわ。』


『…僕を?』


『えぇ。
とってもとっても素敵なプレゼントだわ。
お空のサンタさんにお礼を言わなきゃね…。』


『お空のサンタさん?』


【完】



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