《MUMEI》

やがて我に返り……



夢の中を漂っているようなひと時から、空虚な現実へと引き戻される――…。



――…嗚呼…僕はなんてことをしてしまったんだ……。


――…彼女は僕に救いの手を差し延べてくれた恩人なのに……!



僕は、取り返しのつかない過ちを犯してしまったことを髪を掻きむしりながら悔いた。



「――…ゴメンょ……しずかちゃん…」



だが彼女は衣服を整えながら、小さな声で僕に呟いたんだ…。



「いいのよ……スネオさん…。

…私の身体で、少しでもアナタの傷が癒されるのなら……。」


「しずかちゃん…………。」



彼女の包み込むような慈悲深い愛に、僕はまた涙を流した――…。

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