《MUMEI》 目覚めると 俺の家じゃないニオイがして、 消毒液に浸されたような 異質な気分であった。 「クッサ!」 噎せてしまう。 「私の小指が……話した。」 でかい、女の顔が在る。 そのうえ、よく解らないことを謂うし前髪がパッツンだ。 「顔を書きましょう。」 腹に何かマジックで書かれた。 「馬鹿野郎!犯して殺すぞ!」 「小指のくせに生意気だ。」 パッツン女は何かぬかしやがる。 鏡を見て、 非常に衝撃的だった。 俺は、 小指だった。 裁縫糸でパッツン女に縫い付けられた俺の小指には、間抜けな顔の落書きがしてあり、 それは俺が腹に書かれたと思い込んでいた位置だ。 「……俺は俺の小指になってしまった。」 前へ |次へ |
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