《MUMEI》 お預け私は麗子さんと洋子さんのやりとりを、皆にメールで報告した。 俊彦には、仕事から帰った時に伝えた。 皆もそうだったが… 「いや〜、さっすが麗子だな」 俊彦も、妙に納得していた。 「さ、それより…おかえりのチュウを…」 「ママ〜」 「今行く」 私は、私からのキスを待っている俊彦から離れ、台所にいる康彦の元に向かった。 「できたよ」 康彦は、おでんに入れるゆで卵の殻を剥き終わっていた。 「うん、上手」 私は、康彦の頭を撫でた。 「ママ、僕も」 机を拭き終えた信彦が、私の足にしがみついた。 「信彦も、ありがとう」 私は、康彦と同じように信彦の頭も撫でた。 それから、リビングで洗濯物をたたんでくれた壱子の頭も同じように撫でた。 俊彦は、舌打ちしてからスーツからラフな格好に着替えた。 そして、夕食後。 「何で!?」 子供達と一緒に寝ようとする私を俊彦が引っ張った。 「だって…来ちゃったから」 あれほど俊彦が励んだのに、私は妊娠せず生理になっていた。 『せめて、おやすみのキスだけでも』と言われたが、子供達が見ていて…できなかった。 前へ |次へ |
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