《MUMEI》 砂をかき集めて上に上に盛っていく。 「やだ、お城のてっぺんに塔が無いの?」 お姉ちゃんが僕のお城を指差して言う。 よく皆、山だって言うけど気付いてくれた人は初めてだ。 「そうか、秘密の物守れないよね。」 「貴方は王子様なのね?」 「うん、宝物が埋まっているから。」 それを聞いてお姉ちゃんは小さく笑っていたと思う。 「私も持っているのよ。 ――――――見たい?」 「……うん」 どきどきした。 「……人を物みたいに……コロス。」 お父さんみたいな、低い声がした。 「すごい、小指が喋ったあ」 僕、喋る指なんて初めて見た。 「私は魔法使いだから。貴方が何を埋めたか掘り起こさずに言い当ててあげる」 お姉ちゃんは小指をぴんと立てて、指先を地面に付けた。 「――――――薬指?」 お姉ちゃんは魔法使いだ。 前へ |次へ |
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