《MUMEI》
デェト
「鬼久保ー、俺好きな人出来たよ」

部活は大会に向けて30号のキャンパスへ皆向かって描いている。
そんな時、白戸から思わぬ吉報。

「わあ、おめでとう!同じ学年の人?」

それくらいは教えてくれるかな。


「ううん、小枝子先輩」

白戸の発言への僕のリアクションより早く、副部長(小枝子先輩)が吹き出す。

「白戸、おふざけが過ぎるようなら黒い絵の具飲ませるよ?」

黒い油絵の具は部員の中で特に有毒扱いされる危険な絵の具だ。

「繰り返し告白し続ければいつか報われるかもしれないから、今、刷り込み中なんだ。」

白戸は俺に囁いた。

「丸聞こえですけど?」

小枝子先輩は俺等の真後ろだから聞こえない筈はなかった。

「白戸、いつから?全然気付かなかったよ!」


「んー二日前。」

つい、最近だ。


「え、じゃあ二人はお付き合いしてるの?」


「違います!」

先輩は勢いよく遮る。


「これからですもんねー?」

白戸、押せ押せだ……


「これ以上も以下も無いです!」

先輩は徹底的に守備している。


「……鬼久保はどうなの?」

耳元で囁く。


「……俺はイイカラっ!!」


「小枝子先輩!鬼久保まだ恋人同士になってもデェトしてません!」

酷い!言い触らした!
周りの部員の人達にもバレてしまうじゃないか!


「なんですって!!てか、白戸は鬼久保君虐め無い!真っ赤じゃないの!」

真っ赤なんだ自分……!あっつくなった頬を触って確認する。

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