《MUMEI》

◇◇◇

湯飲みをもったまま

ぼんやりしてたら‥

鴬さんが手招きして──

あたしは

お店の奥に向かった。

「ぇ、入って‥いいんですか? ほんとに‥」

「勿論。この部屋はたまに蜜樹君が使う位だからね(笑)」

鴬さんは

ニッコリ笑って──

お客さんが来たから

レジの方に向かって行った。

「ぁ‥」

小さな卓袱台。

そこにあったのは‥

ノートと

小さめのスケッチブック。

開いてみると──

「ゎ‥」

ノートには

びっしりと字が敷き詰められてあって‥

信玄さんに教えられた事とか

自分で勉強した事とかが‥

事細かく書かれてある。

スケッチブックには──

和菓子のデザインとか

色の組み合わせとかかが描かれてる。

「‥凄い‥///」

蜜樹君──

本当に頑張ってるんだ‥。

何だか‥

凄くあったかい気持ちがした──。

◇◇◇

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