《MUMEI》
9#屋敷襲撃A
「草馬か、ベッコウの部屋の警備はどうした?」

主は煙の向こう側から目を離さずに草馬に訪ねる。

いつもとは明らかに違う、低く地の奥底から響くようなお屋敷主様の声に草馬はゴクリと喉を鳴らす。

「すみません、屋敷の一大事と判断しました。」

ヒュンッッ!

煙を裂くように、黒い線が草馬達の立つ場所に向かって振り下ろされる。

パシィッッ

――――鞭??!

2人は間一髪左右に跳躍して攻撃を避けた。

「ほぅ、やはり、おぬしか。」

お屋敷主は煙の中を睨み付け呟く。

「ホホホホッ 麿を覚えていたとはのう、ボロ屋敷の老いぼれジジィ」

声の主は煙の中から真っ直ぐに歩いて目の前に姿を現した。


闇にも負けぬ位、真っ白に塗られた顔に細くつり上がった目。

趣味の悪い金色の着物、手には先ほどのムチが握られている。


「甲条院!!」

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