《MUMEI》
10#屋敷襲撃B
草馬はその男に見覚えがあった、
1月程前にフラリと屋敷に現れベッコウを床に呼ぶように要望した他国の武将だった。



その夜、

ベッコウは他に先客がおり甲条院の床には就かず、

男にはミワと言う床仕事について間もない女子が就いた。

甲条院は意に沿わなかった屋敷の対応に腹を立て。

ミワをムチで打ちつけ、死なせた。

ミワの血にまみれた亡骸を腕に抱え、

お屋敷主様は怒りを押し殺した声で

「今後、屋敷への出入りをお断りします。お引取り下さい。」

と一言男に告げたのだ。

小さかった頃から知っているミワを、

無残にも殺した男を斬ろうと刀を抜きかけた草馬を制し、

ミワを抱き上げ、誰とも目を合わせずに背を向けたお屋敷主様。

悲しさと、怒りで肩が震えていた事を鮮明に思い出す。



「おまえ!何しに来たっ!!」

刀を強く握りなおし、目の前の悪趣味な男を睨みつける。

草馬の怒りに目もくれず、甲条院は辺りをゆっくりと見回す。

「おい、小僧。ベッコウは、何処におるのでおじゃるか?」

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