《MUMEI》

後半が始まる。


ボールは赤高。


「1本行こ〜!!」


ボールは翔太からユキヒロへ。


麻倉は相変わらず翔太に付いていた。


(しつこいな…)


しかし翔太も負けていなかった。


動きながらスペースを作り、ボールをもらう。


ディフェンスとディフェンスの合間からすぐにシュート。


「ナイッシュー!!」


翔太のシュートが決まる。


17対17。


「同点だ!!行けるぞ!!」


ディフェンスに戻る赤高。


(これだ…


このトリッキーなシュート。


ほとんどゴールも見ないでよくこんなシュートが打てるもんだ…


こいつのプレーには流れを変える何かがある…


だからこそ俺は赤高一のスコアラーよりも、こいつに付いてる。


…完璧にこいつを抑えにかかんなきゃダメみたいだな。)


「1本行くぞ!!」


「おぅ!!」


17対17。


ようやくスタート地点に戻ることができた赤高。


(だがまだだ…


今はまだ早い…)


しかし、麻倉の作戦が…


(あと…


15分ってとこか…)


静かに始まっていた。


それに気付く者はいなかったが、


「センターオッケー!!」


「猪狩さんまたセンターに付いてるぞ!!」


「あの人のスタミナは凄いからな。


疲れ知らずの猪狩さんならずっと付けるだろ!!」


(猪狩、


それじゃダメなんだ…。)


その事態を心配する者はいた。

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