《MUMEI》

周りはみんな忙しそうで楽しそうで…


私はいつも一人ぼっちだった…


家族には心配されたくなくて…


友達…なんて呼べる人は一人もいなくて…


ただ誰かと話したかった。


飾らない言葉で


飾らない気持ちを…


そんな思いを胸に、ある掲示板に書き込みをした。


“誰か
私を助けて下さい。”


その後、書き込まれた文章は酷いものだった…。
出会いや雑談目的がほとんどの中に、書いた私の気持ち…変な奴だと思われても仕方がなかった…。


キモい…根暗…ヲタク…


心ない文章が私に容赦無く降り掛かる…。


そんな時


“ぼくがいるよ。”


と、書き込みがあった。


からかわれているのかもしれない…。


そう思ったけど、縋るしかなかった…。


“話を聞いてほしい。
醜い人間だと思うかもしれないけど、私の偽らざる気持ちを聞いてほしい。”


すぐに返事はきた。


“いいよ。”


顔も名前も知らない人だけど、この世界のどこかに、私の気持ちを分かってくれている人がいる。


そう思うだけで、
嬉しかった…。


一生会うこともないし…


もしかしたら、道ですれ違ったことがある人かもしれない…。


でも、


そんなことは、
問題なかった…。


私は、空を見上げ、


大きく深呼吸…。


顔も名前も知らない人が私の一番の支えとなった。


【完】



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