《MUMEI》

「るきあで〜す!」
「お、俺はひじりです…」
るきあと名乗った女の子、顔の原型を止めない殆どの厚いメイク…つか香水きつすぎて臭い。
つか本名じゃないんだろうなと思いながら生中をぐいっと煽る。
「ねー、聖君可愛いんだけど〜、うちどう?うちと仲良くなって欲しいんだけどー」
俺の腕に絡みつきながら上目使いの、るきあ。本気で気持ち悪い、でも悪いから無言で笑顔を返す。
ちらりと日高を見るとやはりキツイメイクの女の子に絡まれている。
合コンって初めてだけどこんなディープなものだったんだ!?
日高の兄貴の膝に女の子が座ってたり、他の男と女の子は俺らから離れて、壁の端で抱き合っている。
ふと、るきあがトイレに立つと他の女の子も続けて着いて行った。
「ちょっと!日高!」
慌てて日高に近寄ると
「お前佐伯君に言ってなかったの?今日はヤリコンだって」
「ふえ?」
日高の兄貴はニヤニヤしながら俺らを見ている。
他の二人の男もニヤニヤしている。
「は〜…聞いてねーよ、知ってたら佐伯誘えなかったし俺もなんかひいてきた」
日高は申し訳なさげに俺をみながら嘆いた。
「まったく今時純情で可愛い女なんかいる訳ねーだろ、いーから今日はヤってけ?後生大事に童貞持ち歩ってんじゃねーよ」
「うわっ!日高弟童貞?マジで?」
さっき壁際にいた金髪で太めの男が身を乗りだしてきた。
「――だって初めては可愛い女の子って決めてて…」
ボソッボソッと繋げる日高。
分かる、親友だからわかってるぜ。
日高は厚化粧の女の子と自分は吸うくせに煙草吸う女の子は大嫌い。
ここに入った瞬間みんなで煙草吹かしてて二人一緒に固まったもんな。

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