《MUMEI》

写メに撮れたネコは、大体4匹ぐらいだった。



辺りは、少し薄暗くなりかけている。




「あら!!」



元気な声に振り向くと、前田のおばちゃんが、笑顔で近づいてきた。



「あなた、みつるちゃんの…」


「あ、えっと、こんにちは!!」



慌てて頭を下げる。



「こんにちは。―…今日は、みつるちゃんと一緒じゃないのね」


「あー…はい」


「さっきすれ違ったもの。
でも、空手もほどほどにしないとねえ…
こんな可愛い子ほっといて―…」



おばちゃんが笑って言う。



「へ??すれ違ったって―…」


「さっき、公園の所で。
…走ってたのよ、空手着で」


「―………」



蓬田、練習に行ってくれたのか。


素直に、嬉しい。



「ところで、えっと―…」



おばちゃんが話題を変える。



「蓬田、です」



答えると、



「そう、蓬田ちゃん!!
―…蓬田ちゃんは、何してるの??」



笑顔のまま尋ねるおばちゃん。



「あ、えっと―…、散歩、です。…おばちゃんは??」



聞くと、



「ふふ、今ね、ダンナのお墓参りに行ってきたの」



すごく優しい笑顔で、おばちゃんが答えた。



「…ずっと行ってなかったのよ、お墓参り。
でも、みつるちゃんがね、『行った方がいい』って。伝えたいことを、墓前で伝えた方がいい、って」



そこで、ふっと笑って続けた。



「…そうしたら、すごくすっきりしたのよ。
うじうじしちゃダメだって思ってたけど、お墓参りもたまにはいいものね!!」


「…そうですね」



おれも微笑んで答える。



「みつるちゃん、なんだか、大人になったーって感じよ。
…あなたみたいなガールフレンドができたからかしらね!!」



おばちゃんの言葉に笑ってしまった。



「…それは、どうでしょう??」



笑いながら言うと、おばちゃんは不思議そうに首を傾げた。

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