《MUMEI》

「僕は千秋様と仲良くなりかけてるんです。きっとよい関係になれます。
貴方は名前で呼べる仲かもしれませんが、僕だって欧米流親睦方法、『オデコにチュウ』をされました!」



「…………千秋が?!」

馬鹿な……あの千秋が、いや、有り得る。
誕生日会の騒動を考えればもしかして……だとすれば、この子の人生が危ぶまれる!


「千秋様はこんな異常体質の僕に手を差し延べて下さったのです……、僕はこれからも千秋様のお傍にいます!」

俺もこの体質を見て引いていないのに……!
そうか。鳥が生まれて初めて見たものを親と信じて疑わない(インプリンティング)ように彼もまた千秋を……。


「……よーく、分かった。
一先ず千秋のことは保留しておくよ。
君は、俺を理解するべきだ。そこから始めよう、いいかい?」

「千秋様との仲を認めてくれる……?」

首を傾げて難しい顔をしている。
それでもいいさ、俺は決めた。

明石珠緒君は幼少期に友達を作れなかったことから一般の思考から隔絶されてしまっていたんだ、言わば、彼の友達は幻想、ファンタジーだ。ディズ●ーだ。

つまり、この異常な学校環境もすんなり受け入れる程、彼は無知であり、穢れを知らない無垢でもある。



此処で、彼に教えられるのは一般人の俺しかいない……!

「俺が、君を育てるよ……」

言葉が通じなくても根気強く教えるさ、かつてヘレン●ラーに水を教えたその人のように……

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