《MUMEI》 椎の実そんなやり取りがあった後、彼は恐怖に引き攣る僕を従えて街を歩いていた。 どのくらい歩いただろうか…? 気がつけば、深秋の陽射しが僕らの影を長く伸ばす頃――… 「………………。」 …何故か彼は、突然立ち止まった――…。 僕も彼の真後ろに立ち止まる…。 彼は何をするでもなく、ただじっと立っているだけだ…。 「…………キラさま……?」 「シッ!………」 彼は“静かにしていろ”という命令をその一語で伝えると、とくに何をするでもなく、ただ黙って目を閉じていた…。 そして徐に半ズボンのポケットから、ドングリのような木の実を取り出すと、殻を割り、中身を口に入れた…。 前へ |次へ |
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