《MUMEI》
椎の実
そんなやり取りがあった後、彼は恐怖に引き攣る僕を従えて街を歩いていた。



どのくらい歩いただろうか…?



気がつけば、深秋の陽射しが僕らの影を長く伸ばす頃――…



「………………。」


…何故か彼は、突然立ち止まった――…。



僕も彼の真後ろに立ち止まる…。



彼は何をするでもなく、ただじっと立っているだけだ…。



「…………キラさま……?」


「シッ!………」


彼は“静かにしていろ”という命令をその一語で伝えると、とくに何をするでもなく、ただ黙って目を閉じていた…。



そして徐に半ズボンのポケットから、ドングリのような木の実を取り出すと、殻を割り、中身を口に入れた…。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫