《MUMEI》

出来杉は、ゆっくりと顎を動かし、実肉を奥歯で擦り潰している…。



その間もじっと目を閉じ、何かに意識を集中しているようだった。



僕は、その邪魔をしてはいけないことを察すると、身をこわばらせながら息を潜めていたんだ――…。



―――…ツゥー……


さっきから小さな“虫”が、僕と彼の周りを飛び回っている…。



その虫が、彼の集中を邪魔してしまうのではないかとハラハラしたのを覚えている…。



僕はじっと息を殺して、出来杉の“意識集中”が終わるのを待っていたんだ…。

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