《MUMEI》 総評『女王様の恋』は、『シューズクラブ』にやってきたダサい孝太を、女王様な麗子が自分好みに改造し、自分の彼氏に強引にするというストーリーだった。 孝太が昔ダサかったのも、麗子さんが孝太を改造したのも本当だし 台本の中の麗子のセリフは、実際麗子さんが言いそうなものばかりだった。 だから、皆は口々に洋子さんの台本を賞賛し、麗子さん自身も今回の台本の出来には満足しているようだった。 (でも、何か足りない気がするのよね…) 台本の麗子は、実際の麗子さんのイメージに近いのだが、私は何となく違和感を覚えた。 「蝶子さん? どうしました?」 そんな私を、洋子さんが不安げに見つめた。 「何か、…変ですか?」 「変っていうか…」 私は自分で感じていた違和感の正体に気付いていなかったので、洋子さんの質問に答えられなかった。 「自分が出てないから、寂しくなった? でも、ダメだよ」 「違う!」 どさくさに紛れて抱きついてきた俊彦の腕の中で私は暴れた。 「そうだ、違う」 ポツリと言ったのは孝太だった。 「これは、…麗子じゃない」 孝太は、台本を叩きながら、今度ははっきりと言った。 前へ |次へ |
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