《MUMEI》
台本完成
私が台本を書き終えたのは、三月の


やこちゃんと、せいこちゃんの高校の卒業式の翌日だった。


それから、数日後。


《ありがとうございました!》


洋子さんからお礼の電話が来た。


「あれで、大丈夫でしたか?」

《バッチリです! 麗子さんの本当の性格もすごくよくわかりました》


(良かった…)


私はホッとした。


《それでですね…》

「まだ、…何か?」


恐る恐る質問すると、洋子さんの笑い声が聞こえてきた。


《内容が変わったから、タイトルを変えたんですよ》

『大丈夫ですから』と言って、洋子さんはまた笑った。


「そ、そうですか…。それで、あの、何て?」


《『不器用な女王様』です!》


洋子さんがそう言ったタイトルの台本は


今度こそ、商店街の皆が納得する台本になった。


文字通り


三度目の正直だった。

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