《MUMEI》 氷室 千秋と下僕氷室千秋と名乗ってからどれくらい経つだろう。 元々、自分は主体性の無い人間だったのだ。 両親は常に一番を目指せと言い残しこの世を去る、一位等という争いに無関心であった。 それでも時折、守りたくなるのは、敗北者の悔やむ顔を見たいからだ。 思えばその頃から自分の抑えがたい衝動を自覚していたのだろう。 所事情により俺は家を去り、孤児に紛れ込み生活していた。 全てのモノを調教し尽くした時、氷室千石と出会う。 「人の死の寸前に絶頂が有る事を知っているか?」 なんと、魅力的な言葉だろうか。 最初は『死』という甘美な響きに誘われて。 千石……後に父と成る彼は黒い着物に黒い帽子、死神のような風体だった。 彼なら退屈させないだろうという直感が俺を突き動かした。 前へ |次へ |
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