《MUMEI》

「おい。」


「なんすか?」


「ちょっと来い。」


「…?


…はい。」












(絶対上がれ…か。


その為にはやっぱ…


猪狩が必要だよな…。)










「あっ、ねえ。」


「ん?何した?」


「猪狩呼んで欲しいんだけど。」


「猪狩?


ん〜、


今いないよ。」


「あ、そうなの?


わかった。


じゃ、また来るわ。」


「あ〜い。」











それからユキヒロは何度か猪狩に会おうとしたが、


猪狩はいつも教室にいなかった。


部活にも顔を出さない猪狩。


(どうしたんだろ…


部活に顔出さないのはまだわかるけど…


教室にもいないってどういうことだよ。)










「すいません…


自分部活辞めたいです。」


(またか…)


「そっか、わかった。」


何故か突然部員が辞め始めた。


(…俺じゃダメなのかな。)








「椎名。」


「…?


猪狩さん!!


何したんすか最近部活来ないで!!」


「ちょっと来い。」


「…?


はい。」

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