《MUMEI》 大問題発生それから、洋子さんは時々演劇部の様子を私に電話で報告してくれた。 私は、それを商店街の皆に報告していた。 最初の問題は、演劇部に男子生徒と 肝心の麗子役の女の子が見つからない事だったが 洋子さんの台本を途中から手伝っていた運動部のマネージャーの協力があり、それらの問題は全て解決した。 その女の子自身も美少女らしいが 同じ高校の、一つ年下のいとこは麗子役にピッタリな美女で 他校だが、やはり一つ年下のいとこは俊彦役にピッタリな美形らしかった。 《これで、今年の劇は成功間違い無しです!》 配役が決定した時点で、洋子さんはそう言ってとても喜んでいた。 それなのに。 お盆休みになり、これから実家に向かうという時に、洋子さんは突然現れ、私に頭を下げた。 「お願いします!蝶子さん!俊彦さん貸して下さい!」 「…は?」 私は意味がわからなかった。 実は、演劇部では新たに大問題が浮上していたのだ。 それは 俊彦役の男子生徒が、全く演技ができないという 洋子さんにとっては死活問題だった。 前へ |次へ |
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