《MUMEI》

「まあね、
はっきり言っちゃうと、偶然なんて最初から存在しないわけ。
全ては決まっていることなんだ。」


と、その人は言って欠伸をした。

言い切るんですか。

言い切っちゃうんだ…

そこまで言わなくても…





変な話かもしんないけど、
偶然があったっていいじゃないか。




ちょっとムカついたから、反論した。


「でも、そしたら、
変えようがありませんよね…」




「うん」

当たり前とでも言われたようだ。










そんなん…
そんなの分かんないじゃん。

そもそもこの話が、あんたの仕事と何の関係があるんだよ。


「でも、分からなくないですか?
変わることもあるかもしれないし」



「だったらそれは、

必然だったってこと」

言い切られた。
なんか悔しい。自分の意見を否定されたようだ。


「でも、一生懸命頑張ってる人だっているじゃないですか…」


泣きたい。
と思ってしまった。
だから、慌てて下を向いた。


必然を信じないわけじゃない。でも、それが全てと言われてしまったら

自分は
何のために生きてきたのだろう。

ただ、
可能性を信じて生きてきた自分は…











「酷い話だけどね、報われない人もいるんだ…よね?」


思わず顔を上げた。
「よね?」のところはふざけたように言っていたが、
その前はあまりにも哀しく聞こえたからだ。





あ、

笑顔が痛い。








「すみません…それで?」

謝ってしまった。
哀しかった、この人が。

一瞬何のこと?と瞬き全開だったが、
「いいや?」と返してくれた。

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